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2008年8月27日 (水)

ハムフェア2008自作品コンテスト入賞作品について

 2008.08.23(土)に行われたハムフェア2008自作品コンテストの表彰式に出席しましたので、実行委員長の講評の抜粋と作品を見た印象を記録として書きます。
 
080823dag2008ssb02

ハムフェア展示の様子
(管理人が出品したJR8DAG-2008SSB

 
【記録の目的】
 基本的に管理人の備忘録でありますが、これを読んでいただいた方の参考になれば幸いという気持ちもあります。

【実行委員長の講評】
 時間の関係なのか講評は優秀賞第三席まででした。ただ、今回は昨年にあった美辞麗句は少なかったように思います。
 毎年のことですが、出品者が聞きたいのは来年以降により良い作品を作るための講評であると思います。確かに、話し方に気を付ける必要はあると思いますが、出品者が参考に出来る講評をJARLには望みます。

○規定部門(無線機に付加する便利装置)
 このテーマを設定した理由は特になし。
 書類提出12点、作品提出9点。

・最優秀賞(総務大臣表彰)
「キーボード キーヤー」(JG2BVO 笠井重一)
 市販のマイコンキットを利用してキーボードで上手くモールス符号を発生させる装置を作り上げたが、実用性が高く総合的に大変優れていたことを評価。

・優秀賞第一席
「プリント基板バリコンを使った小型アンテナチューナー」(JA9BSL 野村 実)
 多くのバンドを運用するアマチュア無線ならではの作品、プリント基板でバリコンを構成したことと、その基板を作成する装置も作ったこと、その辺りのアマチュア精神を評価。

・優秀賞第二席
「マイク分配器 & スピーカアンプ内蔵」(JA3AQQ 井原直栄)
・優秀賞第三席
「NRD-545コントロールユニット」(鈴木 慎)
 この2作品はアマチュア無線運用で欲しいと思っているものを出品者の独自の視点で製作したことを評価。

○自由部門
 書類提出19点。作品提出17点。
 内訳はトランシーバー8点(送信機含む)、受信機2点、アンテナ2点、モールス関係機器1点、その他4点

・自由部門最優秀賞
「HF8バンドハンディートランシーバー"pico224"」(JH2ECU 沼尻英二郎)
 3.5MHzから28MHzまで8バンドをハンディ機におさめる超絶技巧と表現される作品で、真正面からハンディ機にまとめるという命題に取り組んだ姿勢も評価。

・優秀賞第一席
「サテライト用アンテナ」(JA1CPA 中村英治)
 2バンド(145,430MHz)のアンテナをコンパクトにまとめて誰にでも使える作品にしたことを評価。

・優秀賞第二席
「DFX-703 430MHz FMトランシーバ」(JG6DFK 児玉 智史)
 430MHzという難しい周波数に取り組みながら、完成度の高さとしっかりした作品を製作したことを評価(注1)。

・優秀賞第三席
「木製ケースの6m QRP SSBトランシーバー(JR8DAG-2008SSB)」(JR8DAG 菅野 正人)
 6m QRP AMトランシーバー(管理人注:SSBなのだが・・・・)を木製ケースに入れたことも含めてアマチュア無線らしい作り方を評価

・小中学生の部 JARL会長賞
「真空管式高1(1-V-1)ラジオ」(JF1CBF 坂内 望)
 半導体ではなく真空管を使うということで技術の歴史を学べるということで評価。

 【注1:管理人追記】
・「430MHzという難しい周波数に取り組みながら」というのは管理人の意訳です。しかし、430MHz関係の自作をいくつか検索してみましたが、6mAM等と比べると極めて情報量が少ないようです。その周波数にチャレンジしている精神を審査委員は評価していると管理人は考えました。
 児玉さんのホームページを見させていただくと、この講評に異議があるようですが、そうならばどのような評価をして欲しかったのでしょうか?「審査委員長の評価は○○だったが、○○を評価して欲しかった」と書くべきかと思います。それと、もう1つ気になったのは、自作品コンテストに作品を出品した意図です。文章を素直に見ると、この程度の作品を出しても入賞するハムフェア自作品コンテストのレベルは低い・・・ことを証明したいようにも読めましたが、そのような考えから出品しているのだとしたら、現状の中で一生懸命頑張っている他の出品者に対して大変失礼なことだと思います(たぶん違うと思いますが・・・・)。少なくとも入賞されているのですから、自分の作品の素晴らしさを示すか、それが嫌であれば何も書かないことを望みます。
 ※ 変なことを書いたらまずいかと思いつつ、ホームページを見て気になってしまったので、あえてコメントさせていただきました。

【管理人コメント】
○全般的なこと
・今回はJARL自作品コンテストの担当係員と2日間で2時間ほど話す機会がありました。そこで得られた情報を含めて書いていきます。
・今回、選外作品の写真展示があまりにもひどく、誰が何を出品したのかさえわからないものでした。どうも人員等の労力をかけられないらしいですが、それなりの手間をかけて出品している方々に対して何とも失礼な対応のような気もします。
・関連して、2003年から入賞作品のみの展示になったのは、スペースが減ってしまったかららしいです。また、作品を開けてみせることは現状では人員面で不可能とのことです。そういう話だと、管理を出品者がボランティアでやるくらいの気構えが最低限必要なようです。

○全般的な入賞作品の傾向について
 とりあえず、ここ3年間の作品を見る限り、入賞の基準は以下のとおりとなるようです。
 ・作品から製作者の主張がはっきりとわかること
 ・作品がしっかりと動作すること
 ・デザインが良いこと
 ・他人に見せることに対する配慮があるか

 これに加えて、書類がきちんと出来ていることが重要で、特に第1次審査書類が重要と考えられます。従って5月の〆切の段階で作品ができあがっていないと入賞は無理と考えられます。審査員はこれらの書類を見たのちに実際の作品を見るわけで、「ああ、なるほど・・・・」と思わせることが、入賞と選外の分岐点になると思われます。

○入賞のポイント
 ということをふまえて、入賞のポイントをまとめると、

・最低限必要なこと
 ・自己満足だけでなく、他人に見せることを意識する。
 ・完成度の高さ重要。一次審査の書類提出の段階で作品が
  できあがっていないと、申請書類を見た審査員が実際の
  作品を見たときにギャップを生じることとなる。
 ・操作系はわかりやすくするか、できない場合は書類にきち
  んと書く。自分勝手な論理を押し通さないこと。

・より望ましいこと
 ・他の作品にはない独創性というかこだわりが見られること。
  ただ、これは回路的な技術の高さだけにはこだわらない。例えば、
  回路的には簡単であっても作品によってある分野(6mAMなど)の
  普及が促進されれば、それはそれで独自性である。
 ・技術が高いことは有利であるが、それより重要なのは、技術を
  利用している目的である。新技術を作ったのならばその目的、既存の
  技術を利用した場合は、数ある選択肢の中でなぜその技術を採用した
  かをきちんと書類に書くこと。

 余談ですが、入賞したいのなら、自作品コンテストブースの係員と雑談すると、良い情報が得られるかもしれません。

○入賞作品コメント
(規定部門)
・最優秀賞はキーボードを打つ速度が付いていけるのか気になっていたのですが、特に問題はないようです。
・優秀賞第一席は、作品名が「プリント基板バリコンを使った小型アンテナチューナー with 専用パターンはがし器」あたりだったら、どちらを最優秀賞にするか悩んだのではと思います。出品者は満足しているようですが、管理人的には素晴らしい作品はその素晴らしさをより良く見せることにも力を使って欲しいと感じました。

(自由部門)
・最優秀賞作品のpico224の224はHFバンドの波長を足したものでした(80+40+30+20+17+15+12+10=224)。
 作品は思ったより厚かったのは意外でした(45mm、ミズホのピコは40mm)。ここはあえて薄くしなかったのか、これが限界だったのかはわかりませんでした。さらなる薄型化+29FM追加で3年連続の最優秀賞を狙っていただきたいところです。
・優秀賞第二席の430MHz FMトランシーバーはタカチのUC-16-5-22ケースを使っているようで、この丸みを帯びたケースを使用しているあたりに児玉さんの作品という印象を感じます。内部動作は不明ですが、外観はしっかりと作られている印象で、出品者のオーラは出ていると思います。
・優秀賞第三席の木製トランシーバーは今ひとつウケが良くなかったような気がしました(致し方ないですが・・・)。ただ、審査委員長の講評で「6m QRP AMトランシーバー」と言い間違うあたり、管理人と言えば6mAMという印象を持たれる段階にまでなったのかなとも感じました(ある意味嬉しいことです)。あと、個人的なことですが、作品の作り込みは甘かったなと思っています。
・アイデア賞の「2.4GHzバンドに出よう!シンプルなFM送信機」なのですが、トランシーバーではなく送信機ということで、そのあたりが優秀賞ではなくアイディア賞だったのかと思いました(他の方に指摘されて送信機と気づかされました)。
・努力賞の「終段1AD4 50MHz AM トランシーバー」は相変わらずの手書きですが、作品や書類は丁寧に作られていたと思います。ケースがタカチのYM-300(300×50×200mm)で、WEBではサイズがわからなかったので意外な大きさに少し驚きました。
・デザイン賞「ミズホFBジュニア」ミニ(50メガ トランシーバー)」は別に意味での極めた作品ですが、青木さんと話をした中ではFBジュニアの資料が無くて、何とかみつけた写真1枚を基に製作されたとのことです。その他、スピーカの穴あけについて話題になりました。確かにまっすくに穴あけが出来ず、同じような苦労をされている方がいたのがわかったのが収穫でした。
・JARL会長賞「真空管式高1(1-V-1)ラジオ」について、以前の0-V-1との違いをレポートにしたら、さらに良いのではといったら、厳しいコメントみたいなことを言われました(0-V-1のことも良く覚えているとも言われましたが)。作品を出したことを評価するだけでなく、より多くのことを知る手助けをする、そのことも大事ではないかと管理人は考えます。

○その他
・最優秀賞のカップが昨年の半分くらいの大きさになってしまい、少しかわいそうな気がしました。あと、カップの文字が「ハムフェア自作品コンクール」になっていました・・・・(コンクールの方が良いような気もしないではないですが)。
・展示用説明文は2007年からは後退してしまったような気がします。一番、目立ったのが管理人の説明文というのはちょっと・・・・。
・入賞常連者として、真っ先に思い浮かんだJE1UCI/冨川さん、JJ1INO/井上さんは多忙のため出品できなかったようです。
・自作品コンテストは来年も実施予定だそうです。担当係員からは来年も出してくださいと言われましたが、正直ネタ切れです(ここ数年言っていますが)。管理人が取り組んできた6mAMトランシーバーで4作品(そのうち1作品は最優秀賞)、10mAMトランシーバーで1作品、その他5作品で入賞できたことを考えればとりあえず満足すべきことと思います。それと、これまでに作品についても作って終わりではなく、その後のフォロー(追跡や補助)もしたいですし、もう少し自分本位の作品を作ってもみたいですから、1,2年休んで充電期間にあてるのが良いのかなと思っています。

 JR8DAG/菅野 正人

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