ハムフェア2015自作品コンテスト入賞作品について(2015.08.24)
ブログ管理人のJR8DAG/M.Kannoです。
2015.08.22(土)に行われたハムフェア2015自作品コンテストの表彰式において実行委員長の講評を聞くことができましたので、その抜粋と作品を見た印象を記録として書きます。
まずは、自作品コンテストに入賞されたみなさん、おめでとうございます。
【記録の目的】
基本的に管理人の備忘録でありますが、これを読んでいただいた方の参考になれば幸いという気持ちもあります。
【実行委員長の講評】
この講評の内容をホームページに文章として掲載して欲しいところ
ですが、自作品コンテストを実施するJARLの体制も厳しいようです
ので、当日の講評をYoutubeにアップしました。併せて聞いていただ
けると良いかと思います。
ハムフェア2015自作品コンテスト講評(YouTube - M. Kanno チャンネル)
◎規定部門:「7MHz帯AM送信機(トランシーバーも含む)」
規定部門のテーマを設定した意図は述べず。応募は16点(JARL WEBでは
18作品と書いています。また、第2次審査に提出した作品数はJARL WEBに
よると14作品です)。
○最優秀賞(総務大臣表彰予定)
「コンパクト PWM 200W AM送信機」(JA9YZ 島田良一さん)
終段にFETを使用したE級アンプ、ドレインにPWM直列変調を
かけることで、200Wの送信出力でありながら、軽量であること、
工作の技術が高く綺麗に仕上がっていた点を評価。
○優秀賞第1席
「7MHz AM QRP送信機」(JA8CXX 髙野順一さん)
変調段にオーディオパワーICを使用し、送信の占有周波数帯域幅を
制限するためのLPFを装備するなど、送信機としての性能が高いだけで
なく、小さく綺麗に仕上げた工作技術の高さなどもあわせて評価。
○優秀賞第2席
「7MHz AM QRPトランシーバー 山櫻号」(JL1PSW 森谷 宏さん)
オール真空管の作品で終段に2E26を採用、外観もAM全盛期の
1960年代を思わせるデザインで懐かしさを感じるだけでなく、
全般的な工作技術が高かったことを評価。
○優秀賞第3席
「自作で楽しむ40m QRP AMトランシーバー(JR8DAG-40AM2015)」(JR8DAG 菅野正人)
終段がトランジスタの500mW送信機だが、受信機を内蔵してトランシーバーにし、単3ニッケル水素電池を内蔵しながらも、コンパクトにまとめたこと、また自作機として再現性を向上させるための工夫があった点を評価。
○デザイン賞
「7MHz ゲート変調 AMトランシーバー」(JH2UIN 髙山清司さん)
発信部にDDSを使用、送信部(の変調?終段?)にMOS-FETを使用した
シンプルなトランシーバーで、各部をユニット化した構造でうまく
連結しており、仕上がりがマニアックであった点を評価。
管理人注:JARL WEBの写真ではわかりにくいですが、このような
感じです。
(JR8DAG/M.Kanno撮影、機材:CANON EOS Kiss X7 画像編集:PaintShopPro6J)
【自由部門 全般】
応募は20点(第1次審査を通過した作品数の模様)。作品の種類
(トランシーバー、アンテナ等)の内訳は不明。
【自由部門】
○最優秀賞(総務大臣表彰(予定))
「HF-VHF SSB MULTI BANDER」(JA4LAO 伊藤恒雄さん)
3.5~144MHzの7バンドをコンパクトにまとめたことと、それぞれの
バンドのアンテナを用意してポータブル運用が可能なこと、また、
スプリアス特性が優れていたこともあわせて評価。
○優秀賞第1席
「グラフィカル表示アンテナ・アナライザー」(JA1VXQ 塚原敏夫さん)
市販品を思わせる綺麗なデザインに仕上げた技術の高さ、1~30MHzの
広帯域でアンテナのSWRやディップ点を液晶にグラフィカルに(わかり
やすく)表示できる実用性の高い作品を製作できた技術等を評価。
○優秀賞第2席
「RF Multi-power mets(135k~24GHz)」(JA3CVF 森本 清さん)
135kHz~24GHzの広帯域の電力をdBm直読で表示できる高精度の
パワーメーターを製作できた技術力の高さ、測定結果を用途に応じて
アナログメーター、デジタルメーター、音声変換、画像バーなど
多様に表示できるなど、実用性の高い機能を盛り込んだことを評価。
○優秀賞第3席
「アンテナ直下型リモートシャック本体ユニット」(鴻巣アマチュア無線連合会代表:JA1COU 村田 豊さん)
防水ボックスにトランシーバーやコントロール回路を内蔵し、インター
ネット回線を通じてパソコンで遠隔操作することができるものだが、これを
アンテナ直下に設置し、トランシーバーだけでなく、アンテナを含めて
遠隔操作をできるようにして実用的な作品に仕上げた点を評価。
○アイデア賞
「77GHzトランシーバー」(JH3OZA 桶谷 保さん)
親機を(入手がしやすい?)MCA無線機を改造して利用するという
目の付けどころの良さ、また、屋外でミリ波通信ができるように、
RFユニット、親機を分けて、それぞれアクリルケースに綺麗かつ
コンパクトにおさめていた点を評価。
【管理人コメント】
○全般的なこと
・少しではありましたが、講評の内容が増えたような気がします。
もう少し詳しくという気持ちもありますが、最低限のことは述べて
いたのではないかと思います。本来ならば、全体的にどの点を重視
して審査したと言うべきであると思いますが、これまでの講評を聞く
限り期待できないかなと思います。
・自作品コンテストの担当者に第1次審査で不合格になった方は
いるのか確認したところ、第1次審査での不合格はここ数年では
いないとのことでした。おそらく、第1次審査はどのような作品を
出品するのか主催者が確認するためのものだと思います。ただ、
後述するように第1次審査の書類は最終的な審査結果に大きく
影響を及ぼしていることには留意しておいた方が良いと思います。
・選外作品の写真が紹介されるようになったのは良いことですが、
出品作品は必ず参考になる点があると思うので、何らかの形で
作品を知ることができるようになると良いとは思っています。
○入賞作品について
・JARL WEBでの印象と一番違っていたのは、規定部門優秀賞第1席の
JA8CXX 高野さんの作品の小ささでした。管理人が想像していた
大きさの半分くらいで、あの大きさにまとめるにはかなりの技術が
必要であると言うことがわかりました。
・規定部門デザイン賞は、実際に作品を見ることで理解できました。
逆に言うとJARL WEBの写真の撮り方が良くないと言うことで、今後は
改善を望みたいところです。
・規定部門優秀賞第2席の「山櫻号」はなぜあれほどのダイヤルが
必要なのかと思っていましたが、それぞれに意味があることが
わかりました。趣味の一品としてこれで良いと感じました。
・自由部門優秀賞第3席の「リモートシャック」はJARL WEBの写真の
写真のとおり、内部を開けた状態で展示していました。JARL WEBの
写真は出品者ではなく、JARLが撮影した写真に説明を付け加えた
とのことです。さすがに外箱だけでは全くわからないのでJARLで
作業を行ったようです。
・展示用説明文は昨年から少し改善が見られたかなと思います。ただ、
第1次審査合格通知書には「展示用説明文を送ってください」とある
のに、JARL WEBの募集要項には「取扱説明書を送付」と書かれて
いるためなのか、混乱もあるのかなと思います。管理人の意見と
しては来場者に見ていただくための説明文であるべきだと思い
ます。JL1PSW 森谷さんは展示用説明文で作品を製作するに
あたっての想いを語られていましたが、こういう書き方もあるとは
感じました。
【その他】
自作品コンテストの審査員は4,5名のようですが、今回、その
審査員の1人と話をすることができました。いろいろな話を
したのですが、審査にあたって作品をどのように見たかという
点では以下のとおりまとめられるようです。
・一番大事なのは製作者のポリシ-(考え方とかこだわりのような
もの)であり、そのポリシーを申込書で如何に伝えるかと言う
ことが最も重要というか関心のあるところである。多くの人は、
申込書からこのポリシーがわからないものが多かった
(→ そういう作品は選外になりやすい)のと、回路図を記載して
いない出品者もいるらしい(→ どのような作品か判断できない)。
・第1次審査書類を見てから実際に作品を見るのだが、1次審査の
書類から得たイメージと実際の作品が一致するものが入賞する
傾向にある(→第1次審査の段階で作品が完成していることが
重要)。
・どのような作品を作るかは、ポリシーを適切に伝えることに
比べると優先順位は低い。特に自由部門でトランシーバーと
測定器など違うジャンルの作品の優劣を比較することなど
できないとのこと。
・申込書の書き方だが、一応、管理人が作成したものが1つの
基準と考えて良いとのこと。長すぎると読むのはつらいが、自分の
ポリシーを伝えていれば細かい書き方は大きな問題とはならない
とのこと。
管理人はここ数年、出品者がこれまで取り組んできたこだわりの
ようなものを適切に表現でき、基本設計がしっかりとして、かつ、
安定して高い性能を発揮する作品が入賞しているように感じると
コメントしてきましたが、今回の話を聞く限りそのことが裏付けら
れているように感じます。この話が正しいとするなら、ある程度
しっかりとした軸を定めて日々積み重ねることが入賞には重要
なのかなと感じます。
(関連記事リンク)
・40m QRP AM トランシーバー(JR8DAG-40AM2015)について: JR8DAGのメモ書きブログ
・ハムフェア2015自作品コンテスト入賞作品がJARL WEBで発表される: JR8DAGのメモ書きブログ
・ハムフェア2015自作品コンテスト結果: JR8DAGのメモ書きブログ
・40m QRP AM トランシーバー(JR8DAG-40AM2015)のページを公開(2015.07.21): JR8DAGのメモ書きブログ
・ハムフェア2015自作品コンテストの募集要項発表される: JR8DAGのメモ書きブログ
JR8DAG/菅野 正人
40m QRP AMトランシーバー(JR8DAG-40AM2015)
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