ハムフェア2015自作品コンテスト入賞作品がJARL WEBで発表される
7/23(木)、ハムフェア2015自作品コンテスト入賞作品がJARL WEBで
発表されました。
ハムフェア2015自作品コンテスト入賞作品
コンテストに入賞されたみなさん、おめでとうございます。
以下コメントは、管理人が、上記の入賞作品のホームページの記述から、
作品のポイントを読み取る訓練を目的にメモ的に記載しているものです。
【全般的なこと】
・昨年から第1次審査通過作品(いわゆる選外作品)の応募者と
写真が紹介されるようになりました。これは評価できることだと
思いますが、作品名も紹介されると良いと思っています。
・入賞作品の説明文については、管理人の作品を見る限り、応募書類の
記述から選んだだけなのではないかということは以前から指摘していた
ところですが、今年は規定部門デザイン賞の説明文から、そのことが
さらに裏付けられたように思います。以前にも話していますが、賞を
選定した理由をJARLの言葉で書いていただくようにお願いします。
・高校や中学のクラブの出品作品が選外となっています。入賞基準は
一般より低くて構わないと思うのですが、その基準さえも超えて
いなかったことだったのか気になるところです。
・応募数はホームページを見る限り第1次審査の合格作品数のようです。
規定部門の二次審査の作品が第一次審査応募数から4作品少ないです
が、第一次審査不合格の作品があったのでしょうか。それとも4作品
すべてが第二次審査の出品を辞退したのか気になるところです。
・出品数は自由部門が昨年より増えましたが(16→20)、規定部門は
さほど増えておらず思ったより少なかったなと感じました(16→18)。
・入賞作品は出品数の約3分の1で、約半数の出品作品が入賞していた
2005年頃に比べると、特に2011年以降は入賞の基準も厳しくなって
きているように感じます。
【主催者のJARL様へ】
・人員的な問題がある中で、第1次審査通過作品を紹介したこと、入賞
作品の説明文をできる限り掲載しようとする姿勢は評価します。とは
いえ、賞の選定理由となる記述を書き加えないのは不自然と思います
ので、そのあたり記述の工夫をお願いするところです。
・ここ数年、いろいろお願いしたいことはあるものの、審査する側の
JARLの体制が不十分であるのは仕方ないようですので、こちらで
それなりの情報収集をしますので、こちらなりに解釈してブログ等で
公表して構わないですか?ということにしたいと思います。特に、
審査結果の講評を公開すること拒否された場合は、それなりの
対応を考えたいと思いますので、よろしくお願いします。
【規定部門「7MHz AM送信機(トランシーバーも含む)」】
テーマの(トランシーバーも含む)の解釈は入賞作品を見る限り、応募しやすくするために7MHz AM送信機を含んでいれば良いという規約であったようです。
7MHz AMでは交信にある程度の電力が必要とされることから、真空管式の送信機が過半を占めると思いましたが、入賞作品は半導体方式のトランシーバーが多く、審査基準に掲載されている動作特性なり製作技術を純粋に評価した結果なのかなと感じます。
最優秀賞は、管理人が予想していたとおりPWM変調方式の作品となり、2006年のテーマであった「50MHz AMトランシーバー」に比べると投入された技術が高かった印象を受けました。
○最優秀賞(総務大臣表彰予定)
「コンパクト PWM 200W AM送信機」(JA9YZ 島田良一さん)
・PWM方式という新しい技術を採用して200Wという大電力で良好なAM変調を得ることができた技術の高さと、単に性能の高い送信機を製作しただけでなく、他の人が追試できる再現性なども考慮されていてアマチュア無線の自作技術向上に貢献できることなどもあわせて評価されているのかなと思います。
・商用電源トランスや変調トランスは入手性が高いとは思われませんので、不使用は単に軽量化に貢献しているだけでなく、上記で述べた再現性の向上にも貢献しているものと思います。
・200W AM送信機としては確かにコンパクトと思いますが、従来の送信機に比べてどの程度コンパクトであったかという表現があると良いのかなと感じます。
○優秀賞第1席
「7MHz AM QRP送信機」(JA8CXX 髙野順一さん)
・昨年の自由部門優秀賞第1席の作品と同様に、出品者が有する技術を有効に活用して、7MHz AM運用を快適に行える送信機を製作したことが入賞のポイントなのでは感じました。
・受信ミューティング回路を実装とありますが、受信機での電源は入れているが音を出さないと言った機能でしょうか。
・周波数可変範囲が7.170~7.200MHzとなっていますが、この周波数範囲とした意図が少し気になります。
○優秀賞第2席
「7MHz AM QRPトランシーバー 山櫻号」(JL1PSW 森谷 宏さん)
・ぱっと見に外観がまず印象に残ります。
・優秀賞第1席に比べると、おそらく動作の安定性か完成度に差があったものと思います。
・QRPと書いていますが何Wなのでしょうか。
・作品を見るとダイヤルがたくさんあり見栄えの点で特徴を出しているのですが、それほどのダイヤルが必要なのか気になるところです。
・HF AM通信へのお誘いの1/30の記事に持論を書かれているようですが、自作品コンテストに入賞できるくらいでしたら、自分でその理想論の自作品コンテストを主催されるか、さもなければ、今行われているJARL主催ハムフェア自作品コンテストはどういう意図で行われているか、そしてどうしたら入賞に近づけるのかを(特に若手に)指導なり助言するのがまずしなければならないことではないかと思います。少なくとも、よく調べもしないでJARL自作品コンテストのあり方の話をするのは筋違いであると思います。
○優秀賞第3席
「自作で楽しむ40m QRP AMトランシーバー(JR8DAG-40AM2015)」(JR8DAG 菅野正人)
・7MHz AM送信機の部分だけを見れば、何の変哲もない終段コレクタ変調の作品が入賞となりました。
・ブログのコメントでも書きましたが、この作品の入賞ポイントをあげるとすれば、「自作の7MHz AMトランシーバーとして運用するならこのトランシーバーではどうでしょうか?」という提案を行った唯一の出品作品だったのかなということです。
・このあたりの本作品の出品にあたって考えたことについては、後ほどブログで別記事として書きたいと思います。
○デザイン賞
「7MHz ゲート変調 AMトランシーバー」(JH2UIN 髙山清司さん)
・出品者はデザインをまったく意識していなかったのか、WEBの説明文にそれとわかる記載がありません。
・写真だけからだと入賞のポイントとなったデザインの特徴が不明で、実際に作品を見ないとわからないかなと思います。
・スピーカーは木製BOXとあるのですが、写真からだけだとそのあたりがわかりにくいです。
【自由部門】
規定部門が送信機(トランシーバー含む)ということもあったためか、アマチュア無線の運用に必要な測定器、運用の幅を広げる付加装置の入賞が目立っているように思います。ここ数年の傾向ですが、技術が高いだけでなく、実際に使えるのか、他の人が欲しくなるような作品かどうかも入賞のポイントになっているように感じます。
【自由部門】
○最優秀賞(総務大臣表彰(予定))
「HF-VHF SSB MULTI BANDER」(JA4LAO 伊藤恒雄さん)
・以下のページにブログの記事があります。
http://sakusakujisaku.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-003d.html
・JH2ECU 沼尻さんの「HF8バンド ハンディートランシーバー"pico224"」以来の多バンド無線機で、なおかつ実用的に使える性能があったことが、最優秀賞のポイントかと思います。
・メーカー製の無線機ではFT-817があるので、正直なところJH2ECU沼尻さんの作品ほどのオーラは感じませんでした。それでも、HF~VHFまでSSBで運用可能な作品を製作できた技術の高さだけを見ても、最優秀賞に十分に値する作品だと思います。
○優秀賞第1席
「グラフィカル表示アンテナ・アナライザー」(JA1VXQ 塚原敏夫さん)
・アンテナの調整を行う際に必要な機能を使いやすく、なおかつデザインに配慮して製作した技術、そして実際にこんな測定器が欲しいと思わせたあたりが評価されたものと思います。
・なんか記事を書いていたようなのですが該当の記事を消されたみたいです。
・昨年の作品に対して、見た目だけでもみたいなことを書かれていたと思いますが、確かに中身は大事ですが、見た目も性能の一部と言うことを認識して欲しいと感じました。
○優秀賞第2席
「RF Multi-power mets(135k~24GHz)」(JA3CVF 森本 清さん)
・一番印象に残るのは測定できる周波数範囲の広さ。たぶん、これが入賞の最大のポイントかと思います。
・あとは実際に使用している中で必要と思われる機能を盛り込んだことも入賞のポイントだと思われます。
○優秀賞第3席
「アンテナ直下型リモートシャック本体ユニット」(鴻巣アマチュア無線連合会代表:JA1COU 村田 豊さん)
・この作品に関する掲示板はこちらです。
http://bbs10.aimix-z.com/gbbs.cgi?page=&viewcont=th&room=ja1zit&mode=res&no=4698
・掲示板では外観はただの箱なのでアピールが無く、説明が無いと何だかわからないと述べていますが、JARLのWEBには、割とインパクトのある写真を掲載されており(たぶん出品者が撮影したものと思います)、機能とどのように使うのかがわかるようになっており、作品のアピールができたことがうかがえます。
・防水機能をはじめとして、実際に使う際に必要となる機能の洗い出しを行ってること、それを踏まえた上で必要な技術を取り込み、実用的に使える作品を製作したことが入賞のポイントになっていると考えます。
・昨年から順位が1つ下がったことを気にされているようですが、順位は時の運であって競争率云々ではないと思います。選外か入賞かは管理人は気にしますが、優秀賞の第何席かはあまり気にする必要がないと思っています。
○アイデア賞
「77GHzトランシーバー」(JH3OZA 桶谷 保さん)
・実際に使える状態で、この周波数の作品を出品したと言う点だけで入賞に値するような気がします。
・それを除いたとしても、76GHz自動車用ミリ波レーダのパッチアンテナ、RFアンプ、ミキサー、送受信の切替ユニット部品を利用するといったとところに目をつけたあたりがアイデア賞の選定理由かと思います。
・WEBの説明にあるように、本作品でミリ波通信実験が簡単にできるようになるかかどうか、気になるところです。
・再利用品を使用し製作費が安価とありますが、従来の製作方法なり既製品と比べて、どれだけ違うのかという説明をしているのかどうか気になるところです。
【選外作品について】
今回、選外にはなりましたが、管理人がおっ!と思った以下の作品についてコメントします。
○JP1QYO局の7MHzAMトランシーバ
ここに関連するブログ記事がありました。
http://jp1qyo.sblo.jp/article/155132586.html
・選外になった理由は、おそらく7MHz AMトランシーバーとしての性能が他の作品より低く、萌絵(痛絵)で覆すことができなかったためと思います。
・私がこの作品で注目するのはアップロードされていた説明文です。正直なところ文章の洗練度が足りないのですが、実際に読んでみると、このトランシーバーを製作する際に、出品者がどのような意図で作品を製作したのかと言うことが説明されており、他の人にとって参考となる資料となっていることです。
・あと、大半というか、ほとんどの出品者が入賞作品であっても、出品作品の説明をほとんど公開していない(できていない)ことを考えると、WEBを利用して情報公開をした、その点だけでも、管理人は高く評価したいと思います。ありがとうございました。
(関連記事リンク)
・ハムフェア2015自作品コンテスト結果: JR8DAGのメモ書きブログ
・40m QRP AM トランシーバー(JR8DAG-40AM2015)のページを公開(2015.07.21): JR8DAGのメモ書きブログ
・ハムフェア2015自作品コンテストの募集要項発表される: JR8DAGのメモ書きブログ
JR8DAG/菅野 正人
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