40m QRP AM トランシーバー(JR8DAG-40AM2015)について
ブログ管理人のJR8DAG/M.Kannoです。
ハムフェア2015自作品コンテストにて規定部門優秀賞第3席に入賞できた「自作で楽しむ40m QRP AM トランシーバー(JR8DAG-40AM2015)」について、自作品コンテストの提出書類で書かなかったことについて述べます。
【出品の動機】
・2015年は規定部門のテーマがAM関係でなければ出品しない方向で
考えていたのですが、「7MHz AM送信機(トランシーバーも含む)」と
いうテーマになったということで規定部門での出品を決断しました。
【どのような作品を出品するか】
・昨年のハムフェア2014自作品コンテストで7MHz AMトランシーバーを
出品すると決めた際に、2つの案を考えたわけですが(A案とB案)、
2014年に出品したA案より優れた案を考えられる状況はなく、2015年は
B案で出品することで、構想を固めました。
・今回、JR8DAG-2006AMやJR8DAG-2010AMのような標準機を出品する
場合は、昨年の作品のような小型軽量といった目立ちやすい要素を
示すことが難しいと判断したので、なぜこのような作品を出品するとかと
いうことを如何に理解してもらうかに重点を置く方針を立てました。
・今回の規定部門では、真空管式の大きな作品が多いのでは、また、
「自分はこんなすばらしい送信機を作りました」という作品が
多いのではと予想し、本作品では「半導体を使用した作品で他の
人に負けないもの」、そして「7MHz AMに自作機で出るなら私が
出品した作品はいかがでしょうか 」という意思を示すことで臨む
こととしました。
・あと、規定部門のテーマが「7MHz AM送信機(トランシーバーも含む)」に
なっていたことについては、2つに解釈できると述べましたが、
管理人としては「応募しやすくするために7MHz AM送信機を含んで
いればokという規約」という自分にとって都合の良い方の解釈で
臨みました。そうでないと、単なる終段コレクタ変調の
トランシーバーが入賞するようには思えませんでしたので。
【回路設計・製作】
・本作品の回路のベースになっているのはハムフェア2006自作品コンテスト
に出品したJR8DAG-2006AMであるが、受信部はそのままだと夜間の
大電力放送局の影響を受けるので、そのあたりの改善策を施すこととした。
また、2014年にJR8DAG-40AM2014を製作しており、これを出品することも
考えたが、年数も2015年と新しい方が良いし、受信の方を多少なりとも
改善したい気持ちがあったので、新たに作り直すこととした。
・その改善策は受信の同調回路を増やすことと、周波数変換のバランス化
だったのだが、大電力放送局対策に関しては多少良くなった程度で
結局のところ最も効果があったのは、JR8DAG-40AM2014にも装備していた
アッテネーターであった。
・基板はJR8DAG-2006AM → JR8DAG-40AM2014 → JR8DAG-40AM2015と
変遷している。大きさは15cm×10cmと変わらずで、この大きさは市販の
基板を切断せずに使えることを考慮していると強調した。また、送受を
半分に分けることも可能で、その場合は7.5cm×10cmの市販の基板を
切断せずに受信機のみを製作できることも可能である。
・基板のパターンはJR8DAG-2006AMからJR8DAG-40AM2014にする際は
水晶フィルターを4素子から6素子に変更することがメインであったが、
JR8DAG-40AM2014からJR8DAG-40AM2015にする際には、コイルの追加、
周波数変換の変更、ピンヘッダを使用するためのピッチ幅変更などに
関するパターン修正を行った。
・今回、配線がしやすくなることを考えてピンヘッダを導入、昨年の
Micro40AM2014の反省を踏まえたため、ピンヘッダですべて
配線を行うことができた。
・水晶は市販の汎用品が使える組み合わせはMicro40AM2014ですでに
確立していたので、19.2MHzと12MHzを使用した。昨年は、申込書で
書き忘れたが、今回はしっかりと記載した。
・送信出力は7MHzでは0.5Wだと正直交信が厳しいが、JARLアワードの
QRPp特記が取得できる最大出力であるということを申込書では強く
主張した。本作品の大きさで搭載できるトランスで最も大きいのは
ST-41Aであり、その定格が0.7Wということもあり、出力は0.5Wとした。
・スプリアスを抑えるフィルターはT型+π型2段LPFにもしたが、
トリマの調整を間違えるとスプリアスがひどい状態になったので、
π型4段LPFに変更した。ただ、これでも-55dB程度と管理人的には
満足できない状態である。トロイダルコイルにT37-2を使用しているが、
これをT37-6に変えると良くなるのかどうか確認したいと思って
いる。
・ケースはJR8DAG-2006AMではタカチのAU-3を使っていたが、数年前から
製造中止になったことから、JR8DAG-2010AM、JR8DAG-40AM2014は
一回り小さいLEADのPS-3を使用している。電池が入らないので外付けに
なるが、移動運用などでの電池交換がしやすくなる使い勝手の良さを
主張することとした。
・後日のメンテナンスを考え、内部にアクセスできる構造を採用したのは
これまでの作品と同様である。
【デザイン】
・AM系の無線機は水色系で塗装しているので、本作品も外側は水色、
パネルは黒で塗装した。パネル文字はレタリングは入手製や文字の
種類の少なさに難があるので、ネームランドテープを使用した。
本作品は管理人のこだわりで、イメージキャラクターゆめこの
イラストが入ったプレートを貼った。自作品コンテストの入賞作品の
ページにおぼろげながらプレートが掲載されたことはうれしく
思っている。
・デザインの良さも作品の性能の一部と管理人は考えている。
QRL第173回放送でも紹介していただいたが、かっこ良く見えると
いうことなので、それなりにデザインに気を付けていることを
認識していただけたのかなと思っている。
【使用感】
・受信感度は十分であるが、夜間はアッテネーターを使用すれば周辺の
大電力放送による混変調らしい妨害に対応できるものの、アッテネーターが
無くとも混変調に対応できる受信機にはしたかったところである。ただ、
最近は7.200MHzに大電力放送が出てきており、こうなるとメーカー製の
受信機でもどうしようもないので、あまりこだわっても仕方ないなのでは
とも考えている。
・送信出力の500mWは7MHz AMではかなりきつく、7,8,0エリアは交信
できそうだが、運用局がいない、1エリアは聞こえても周辺の妨害で
交信できないという感じで、このあたりは昨年出品した
Micro40AM2014(0.2W)と同じような感覚である。
【感想など】
・正直、今年のテーマは管理人的には非常にタイミングが悪かったです。
そんな中でも何とか入賞ができたのは良かったと思っています。
・昨年出品したMicro40AM2014に比べると作品の特徴が際立っていないのと、
2006年に出品したJR8DAG-2006AMから周波数を変えただけと思われる
可能性から、今回は選外の判断をされても仕方ないと思っていました
が、そういう判断はされなかったようです。
・今回は、「7MHz AMに自作機で出るなら私が出品した作品はいかがで
しょうか」と言う提案型の出品作品が少なかったのが、結果として
入賞につながったのかと思いましたが、やはり2014年のMicro40AM2014
のように、どのような状況であっても入賞できる作品を出すことを
目標にしていかなければならないと感じています。
(関連記事リンク)
・ハムフェア2015自作品コンテスト入賞作品がJARL WEBで発表される: JR8DAGのメモ書きブログ
・ハムフェア2015自作品コンテスト結果: JR8DAGのメモ書きブログ
・40m QRP AM トランシーバー(JR8DAG-40AM2015)のページを公開(2015.07.21): JR8DAGのメモ書きブログ
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JR8DAG/菅野 正人
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