ハムフェア2016自作品コンテスト入賞作品について(2016.08.28)
ブログ管理人のJR8DAG/M.Kannoです。
2016.08.20(土)に行われたハムフェア2016自作品コンテストの表彰式において実行委員長の講評を聞くことができましたので、その抜粋と作品を見た印象を記録として書きます。
まずは、自作品コンテストに入賞されたみなさん、おめでとうございます。
【記録の目的】
基本的に管理人の備忘録でありますが、これを読んでいただいた方の参考になれば幸いという気持ちもあります。
【実行委員長の講評】
この講評の内容をホームページに文章として掲載して欲しいところですが、自作品コンテストを実施するJARLの体制も厳しいようですので、当日の講評をYoutubeにアップしました。併せて聞いていただけると良いかと思います。
ハムフェア2016自作品コンテスト講評(YouTube - M. Kanno チャンネル)
【規定部門】「電鍵、マニュピレーター」(オーディオ発信器やメモリーキー等の電子回路部分については、評価の対象としない)
規定部門のテーマを設定した意図は述べず。応募は20点(第1次審査を通過した作品数の模様)。
○最優秀賞(総務大臣表彰予定)
「縦振り電鍵(ストレートキー)」(JA1CQJ 井伊勝行さん)
正方形の大理石をベースに、キー部分の真鍮材は磨きをかけられていて仕上げが綺麗であったこと、軸受けにベアリングが使用されていてキーイングのタッチが非常に優れていたことを評価。工作技術も優れていて自作品とは思えない綺麗な仕上がりでもあった。
○優秀賞第1席
「ストレートキー×マニュピレーター」(JH4JBJ 原田英明さん)
1つの基台にストレートキーとマニュピレーターを装備した電鍵で、基台に20mmの鉄板を使用していることで安定しており、仕上がりなどの工作技術が優れていた点を評価。
○優秀賞第2席
「固定局からアウトドア」(JR1SUR 高野良一さん)
1つの基台にストレートキーとマニュピレーターを取り付けているが、それぞれを基台から取り外せる機構にしたこと、材料加工などの工作技術の高さを評価。
○優秀賞第3席
「綺麗なピカピカ自作パドル」(JH4PMD 杉村憲史さん)
ベースに鉄板と真鍮を組み合わせているが、鏡面仕上げの真鍮材が非常に綺麗であるなどの材料加工技術が高さを評価。
○静かで賞
「静かなミニ電鍵」(JE1GIX 金子勝郎さん)
○静かで賞
「タッチパドル」(JK1FNL 小林直行さん)
上記2作品はリードスイッチやタッチセンサーなど無接点のものを使用し、キーイングの際に音がしないことで、周りの家族に優しい電鍵を作成した点を評価。
【自由部門】
応募は17点(第1次審査を通過した作品数の模様)。作品の種類(トランシーバー、アンテナ等)の内訳は不明。
○最優秀賞(総務大臣表彰(予定))
「50MHz AM QRPpトランシーバー」(JA8CXX 高野順一さん)
50.47~50.70MHzをカバーする出力200mWのAMトランシーバーで、外面のパネルが非常に綺麗であったこと、スプリアス特性も優れていた点を評価。
○優秀賞第1席
「7MHz CWトランシーバー」(JK1LSE 本田 進さん)
E級増幅回路を使用することで、手のひらサイズの大きさでありながら10W出力を出せるなど、回路設計や基板工作が非常に優れていて市販品を思わせる綺麗な仕上がりであった点を評価。
(参考)以下のリンクの記事に入賞作品の提出書類があります。
http://honda.way-nifty.com/pocky/2016/08/cw-trx-v2-059a.html
○優秀賞第2席
「CWm(CW Messenger)」(HK & HK(代表:JH1KBG 川上博士さん))
入力した符号が音声で出ることと同時に表示機に文字が表示される高機能の作品を製作したことを評価。
○優秀賞第3席
「7/10MHz CW QRPトランシーバー」(JA1VXQ 塚原敏夫さん)
ハイキングや山歩きなどの移動運用で負担にならない軽量かつ小型でありながら、操作部に回転機構がないので誤動作しにくい操作性の高さ、回路設計や基板作成などの技術の高さも評価。
○技術賞
「フルデジタル・マルチバンドSSBジェネレータ」(JA7QOU 山崎秦男さん)
dsPICやDDS ICを活用してSSBジェネレータを作成した技術力の高さを評価。
○奨励賞
「微弱電波無線電信機」(JP3TUJ 神谷知宏さん)
電鍵にFMワイヤレスマイクを取り付けて、FMラジオを利用することでモールスの練習ができる作品を製作した技術力や、今後の自作や無線の技術に関する期待を込めて奨励賞とした。
【管理人コメント】
○全般的なこと
・作品が小さいものが多かったためか、上段に作品、下段に説明書を
展示する方法になっていました。来場者は見やすいが、逆に写真
撮影はしづらい感じでした。
・第1次審査は出品者がどのような作品を出品するか主催者が
確認したいという趣旨なので、第1次審査で不合格となることは
ないようです(第1次審査で不合格になった方がいたら教えてください)。
・選外作品は出品者に加えて作品名も紹介されることとなりましたが、
出品作品には入賞、選外にかかわらず、参考になる点があると思う
ので、何らかの形で作品の概要を知ることができるようになると
良いと思っています。
○入賞作品について
・今回、JARL WEBでは大きさが全くわからなかった作品が多かった
ように思います。今年は出品していなかったので関心が無かった
こともありますが、全般的に思ってたより小さい作品が多く、特に
自由部門優秀賞第1席のJK1LSE局の作品の大きさはJARL WEB
では全くわかりませんでした。
・管理人はCWを全く運用しないので、電鍵はまったくわからないの
ですが、それでも、外観だけからは違いはわからない感じでしたが、
自作品コンテストの担当者(以下担当者とする)と審査員を務めた
Fさん(仮名)に聞いたところ、確かに外観だけでは違いはわから
ないだろうとの話でした。
・ただ、電鍵の審査はしやすかったらしく、最優秀賞~優秀賞第3席は
ほぼ電鍵としての打ちやすさで決まってしまったようです。ただ、
作品展示では作品に触れることを禁止しているので、そのことを
来場者は確かめられないのが難点であると言えます。
・「静かで賞」という選定については、やはり、電鍵を打つときの音に
関しては気にしている審査員が多かったようで、その辺を評価基準とした
賞を設けたようです。
・その静かで賞の「静かなミニ電鍵」(JE1GIX 金子勝郎さん)に
ついては、Fさんのコメントでは電鍵そのものの打ちやすさは
最悪であったが、静かに打てるというコンセプトを見事に体現した
作品であったので入賞に値したとのこと、そして、コンセプトを
明確に審査員に的確に伝えられるプレゼンテーション能力が
あるのだろうという話でした。
・展示用説明文は正直地味なのがほとんどで、現時点では
ワープロで作成した説明文に近いようなものがほとんどのよう
です。パワーポイントを使用した製品カタログのような説明文が
あっても良いように思います。
【その他】
・管理人はここ数年、出品者がこれまで取り組んできたこだわりの
ようなものを適切に表現でき、基本設計がしっかりとして、かつ、
安定して高い性能を発揮する作品が入賞しているように感じると
コメントしてきました。今年は、入賞者のJK1LSE局とJA1VXQ局の
話を聞くことができましたが、作品製作にあたって語れる内容が
多く、非常に多くの積み重ねを持っていることがうかがえましたし、
そして、そのことを作品として表現できた故に入賞できたのだなと
感じさせられました。
(関連記事リンク)
・ハムフェア2016自作品コンテスト入賞作品がJARL WEBで発表される: JR8DAGのメモ書きブログ
・ハムフェア2016自作品コンテストの募集要項発表される: JR8DAGのメモ書きブログ
JR8DAG/菅野 正人
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