ハムフェア2017自作品コンテスト入賞作品がJARL WEBで発表される
ブログ管理人のJR8DAG/菅野 正人です。
8/1(火)、ハムフェア2017自作品コンテスト入賞作品がJARL WEBで
発表されました。
ハムフェア2017自作品コンテスト入賞作品
コンテストに入賞されたみなさん、おめでとうございます。
以下は、管理人が、上記の入賞作品のホームページの記述から、
作品のポイントを読み取る訓練を目的にメモ的に記載しているものです。
【全般的なこと】
・昨年掲載された寸評がなくなっています。JARLの自作品コンテストの
担当者に確認したところ、表彰式での審査委員長のコメントを掲載する
予定とのことだそうです。
・ということで、現時点で寸評がないことに関しての管理人の評価は
保留です。
・3年ほど前から掲載されていた第1次審査通過作品(いわゆる選外作品)の
応募者と写真についても今年は掲載されていませんが、こちらの理由は
確認していません。
・応募数はホームページによると規定部門が12作品、自由部門が22作品の
ようですが、これが全て第2次審査を受けた作品と一致しているのか
どうかは今のところ不明です。
・入賞作品は規定部門で4分の1、自由部門では4分の1以下で、昨年までの
約3分の1よりも少なくなっています。出品者のレベルは不明ですが、
入賞の基準が厳しくなったような印象に感じます。
・また、今回の8作品のうち、初めての入賞は規定部門優秀賞第1席の
JA3HKR吉田さんだけなのかなと思います。入賞者とそれ以外の人との
差が大きくなっているような気がしないでもないのですが、気のせい
でしょうか。
【主催者のJARL様へ】
・現時点では保留していますが、寸評という形でも構わないので、
入賞理由をJARLの言葉でホームページに公開していただきたいと
思います。こちらの質問に対して、審査委員長のコメントを掲載
するとの回答をいただきましたので、実行していただけるものと
思います。
・第1次審査通過作品を紹介していただきたいと思いますが、次年度
以降にバージョンアップして再出品を考えている方からすると、
作品を紹介してくれない方が都合が良いのかなという気もしますので、
この辺の判断は難しいかなとも思います。
・今回は、大きさがわからない作品が多いような気がします。大きさを
記載するか、そうでなければ、大きさの比較ができるものと一緒に
写真撮影をして欲しいです。
・いつものことですが、審査する側のJARLの体制がいろいろと大変
なのは、仕方がないことのようですから、こちらでそれなりの
情報収集をしますので、こちらなりに解釈してブログ等で掲載
させてくださいと、ということで引き続きお願いしたいと思います。
【規定部門】「アンテナ調整用機器(アナライザ含む)」
もう少し応募数があっても良いかなと思いましたが、アンテナの
調整用機器に関しては市販のもので十分に満足している方が多いと
考えて良いのでしょうか。}
○最優秀賞(総務大臣表彰予定)
「HF帯アンテナ・アナライザ」(JH4JBJ 原田 英明さん)
・HF帯(1~30MHz)のアンテナの調整に実用的に使える点が
最大のポイントに思われます。バッテリー動作が可能という
ことで、場所を選ばずに使用できるあたりもポイントかと思います。
・発振モジュール、周波数カウンターモジュールがマイコンで
制御するものなのかどうかが気になります。
○優秀賞第1席
「携帯用小型アンテナアナライザーもどき」(JA3HKR吉田 清和さん)
・最優秀賞の作品と同じように、HF帯の幅広い周波数で、別途無線機を
用意することなく、アンテナの特性を測ること可能なこと、表示を
LEDとアナログ表示を併用して使い勝手を良くしている点も評価対象に
なっているように感じます。
・「測定範囲の周波数で信号源の発振強度がほほ一定で使いやすい」は
使用したモジュールの特徴か、あるいは、何か工夫した点があったかが
気になるところです。
○優秀賞第2席
「自動同調整合追従器」(JR1OAO 中島 一さん)
・2014年に最優秀賞を受賞されたMLA(マグネチック・ループアンテナ)
は微調整が必要なようで、その調整を行いやすくすることが発端の
ようですが、システム全体で使いやすく、かつ性能の高いものを
構築するという戦略的取り組みが評価されているものと思います。
・MLAの弱点と思われる部分かと思いますが、方向や位置の変更、
風や雨の環境変化でも追従できるあたりは、他のアンテナや
移動運用でも応用可能な感じがします。
・その他の実際に使うことを考慮に入れた装備が入賞のポイントかと
思いますが、このあたりの技術の使い方のうまさはJR1OAO局ならではと
感じます。
・JR1OAO局は最優秀賞を3回受賞されているので、あれっ?と思ったの
ですが、今年の募集要項を確認したところ、最優秀賞3回受賞した方を
評価対象から外すという項目がなくなったようです。
【自由部門】
技術賞のトランスバーター以外の入賞作品がトランシーバーで
あったのは予想外でした。応募数22に比べて入賞数が5だった
のは、入賞基準は変わっていないが基準に達しない作品が
多かったのか、あるいは基準そのものが上がったのか気に
なるところです。
ただ、今回の作品を見る限り、アイディア、デザイン、
製作技術、実用性などのいくつの評価基準のうち2つ以上の
特徴を見せられないと入賞は難しいのかなという感じが
しました。
【自由部門】
○最優秀賞(総務大臣表彰予定)
「ダイレクトコンバージョン受信方式7MHz CW QRPpトランシーバー」(JA8CXX 高野 順一さん)
・高野さんから作品の資料をいただきました。長文ですが、その資料への
返信内容を一部修正して掲載した方が、受賞理由を表しているように
思いますので、以下に示します。
・黒を基調とした外観のデザインを見るだけで、JA8CXX局の作品である
ことがわかります、黒を基調としていていることもあって派手ではない
のですが、文字も含めて作品全体がシャープに見えるのと長期間経過
しても飽きがこないあたりが大きなポイントと感じます。
・7MHz ダイレクトコンバージョン受信機を実用レベルに持ってくるために
必要と考えられる改善点を思いついたことと、それを実際に実装して
改善を図ることができた技術力の高さは大きく評価するところです。
・7MHz CW運用の経験値が高いためなのか、昨年の6mAM機に比べて
作品の完成度が高い印象に感じます。運用経験というのは重要なの
だなとあらためて感じさせられます。
・今回の作品は、必要な技術を必要な量ではなく、あらゆる場面を
想定して、過剰とも思えるけど惜しみなく投入する、このあたりは
前述の運用経験の積み上げがないとできないことであると思いますし、
審査員もその点を評価しているものと思います。
・あと、今回の作品の個別技術は、ものすごく難しいものではない
ように思いますが、その代わりに他の人が追従しやすいものになって
いるように感じます。個別技術はそれほどではなくとも組み合わせる
ことによって新しいものが作ることができることを示した点も評価の
対象になったかと思います。特に7MHz DC受信機は使い物になら
ないという定説(?)を覆す作品の価値は非常に高いかと思います。
○優秀賞第1席
「HF 5バンドSSBトランシーバー」(JR6FO 下地 英得さん)
・HF 5バンドはおそらく3.5MHz、7MHz、14MHz、21MHz、28MHzかと
思いますが、SSBトランシーバーとして実用的に使用できる点と、
角を斜めにしたデザインの良さなどが評価されていると思います。
・トランシーバーを製作するにあたっての技術が記載されていますが、
その技術が使い勝手の向上につながっているものと考えます。
・「7MHz域外の強力信号に有効なフィルタ搭載 」の記述を見ると
7MHz帯の受信環境は非常に厳しいことが想像できます。
○優秀賞第2席
「空き缶を利用した6m QRP AMトランシーバー(CanTra6AM2017)」(JR8DAG 菅野 正人)
・円を基本とした独特の形状に加えて、6m QRP AM運用を楽しめる
実用性を評価していただいたものと思います。
・デザインだけだと主張が弱いと判断し、6m QRP AM運用を行える
実用性や作りの良さを主張しましたが、実用性を主張するための
交信実績に関しては、製作技術以外の継続的な取り組みが役に
立ったかなと感じています。
○優秀賞第3席
「多機能マルチバンド・トランシーバー」(7L4WVU 原口 忠さん)
・以下に関連記事があります。
ハムフェア2017 自作コンテスト 入賞通知が届きました - 7L4WVU 自作アマチュア無線局 - Yahoo!ブログ
・1.9~50MHzのSSB/AM/CW/デジタルモードで運用ができる多機能のトラン
シーバーを製作した技術が評価されていることは間違いないと思います。
・記述内容を確認する限り、もっと上の賞になっても良いような気が
しますが、特に優秀賞第2席とどう違ったのかは、実際に作品を
見て確認することになりそうです。
○技術賞
「日本初DATV送信も可能な249GHz逓倍式トランスバーター」(JA3CVF 森本 清さん)
・日本初の部分が「249GHz逓倍式トランスバーター」なのか「DATV送信も
可能な~」で少し印象が変わるのですが、249GHz帯を送受信可能な設備を
製作した技術力の高さを評価されているものと思います。
・googleで「249GHz帯」で検索する限り、得られる情報も少ないよう
ですから、249GHz帯で運用するだけでもそれなりの情報収集能力や
技術なりが必要なようです。
(関連記事リンク)
・ハムフェア2017自作品コンテスト結果: JR8DAGのメモ書きブログ
・空き缶を利用した6m QRP AM トランシーバー(CanTra6AM2017)のページを公開(2017.07.21): JR8DAGのメモ書きブログ
・ハムフェア2017自作品コンテストの募集要項発表される: JR8DAGのメモ書きブログ
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コメント
菅野さん入賞おめでとうございます。
2015年に続いて私と同時入賞ですね。
コメントに有る日本初は手前味噌ですが両方と思います。
逓倍式の送信機はJA8CMY局が発表されていますが、トランスバーター方式では初めてと思います。
トランスバーター方式は親機等で変調された信号を周波数変換しますが、MIX方式で先輩諸氏はしていました。逓倍式にするには親機信号を逓倍数分だけ分周してMIX後、増幅、逓倍すると元の周波数関係の信号に戻ります。
MIX方式と逓倍方式では出力が大きく違います。
この分周、逓倍方法は47Gや77Gでは主流になりつつ有ります。249Gでは初めてです。249Gでの実現には色々ハードルが有りますが長くなるので省きます。
興味が有れば資料送ります。また、249G帯DATV(DVB-S方式)電波形式D7Wでのライセンス取得は当局1局です。DVB-S方式はヨーロッパや中国の衛星放送方式です。日本のISDB-T方式より信号がシンプルなので信号を分周、逓倍しても映りました。
投稿: 森本 清 | 2017年8月11日 (金) 09時00分
森本さん
こんばんは。JR8DAG/M.Kannoです。自作品コンテストの
入賞おめでとうございます。
作品のもっと重要なポイントは逓倍方式というところで、
これが実現できたことでDATV送信も可能になったという
とらえ方で良いのかなと感じました。
>>興味が有れば資料送ります。
可能であれば、自作品コンテストの提出書類を送って
いただければと思います(個人情報は削除してください)。
このあたりの難しい技術を、書類でどのように表現され
たのか参考にしたいと思っています。
>>2015年に続いて私と同時入賞ですね。
私に関しては、2015年はいろいろあって苦しかった
です。今年はまともに動くまでに思ったより手間が
かかりましたが、今になってみれば楽しめたなと思って
います。
よろしくお願いします。
JR8DAG/菅野 正人
投稿: JR8DAG/M.Kanno | 2017年8月11日 (金) 22時40分