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2017年9月18日 (月)

ハムフェア2017自作品コンテスト入賞作品について(2017.09.18)

 ブログ管理人のJR8DAG/M.Kannoです。

 2017.09.02(土)に行われたハムフェア2017自作品コンテストの表彰式において実行委員長の講評を聞くことができましたので、その抜粋と作品を見た印象を記録として書きます。

 まずは、自作品コンテストに入賞されたみなさん、おめでとうございます。

【記録の目的】
 基本的に管理人の備忘録でありますが、これを読んでいただいた方の参考になれば幸いという気持ちもあります。

【実行委員長の講評】
 9/2(土)に行った表彰式における審査委員長の講評をYouTubeにアップしていますので、あわせて聞かれると良いかと思います。

 ハムフェア2017自作品コンテスト講評(YouTube - M. Kanno チャンネル)

 なお、JARLに問い合わせたところ、ハムフェア開催後のレポートにおいて審査員の講評の抜粋を掲載するとの回答を得ていましたが、9/18(月・祝)時点の開催レポートを見ると、どうやら表彰式の写真を掲載しただけでごまかしそうです。

 (10/3 14:30追記)
 ハムフェア開催後のレポート自作品コンテスト入賞作品の講評が掲載されているのを確認しました。スクリーンショットも貼っておきます。

2017_2

【規定部門】「アンテナ調整用機器(アナライザ含む)」
 規定部門のテーマを設定した意図は述べず。応募は12点(第1次審査を通過した作品数の模様)。

○最優秀賞(総務大臣表彰)
「HF帯アンテナ・アナライザ」(JH4JBJ 原田 英明さん)
 1~30MHzの広帯域で使用できること、発振器がマイコンを使わないアナログ回路で構成されており、周波数カウンターとメーターで、共振周波数、SWR、インピーダンスが測定できる実用性と工作技術の高さを評価。

○優秀賞第1席
「携帯用小型アンテナアナライザーもどき」(JA3HKR吉田 清和さん)
 1.2~30MHzの広帯域を4桁のLEDによる周波数表示と小型のラジケーターにより共振点が表示できるだけでなく、小型軽量で乾電池で動作することから移動運用で便利に使える実用性と工作技術の高く仕上がりの良さをも評価。

○優秀賞第2席
「自動同調整合追従器」(JR1OAO 中島 一さん)
 送信機とアンテナの間につないで、送信出力を検知して、アンテナの最良点に自動調整する機器であるが、特に微妙な徴調整が必要なMLA(マグネチック・ループアンテナ)の能力を引き出すことができる点を評価。

【自由部門】
 応募は22点(第1次審査を通過した作品数の模様)。作品の種類(トランシーバー、アンテナ等)の内訳は不明。

○最優秀賞(総務大臣表彰予定)
「ダイレクトコンバージョン受信方式7MHz CW QRPpトランシーバー」(JA8CXX 高野 順一さん)
 混信に弱いとされるダイレクトコンバージョン受信機に、さまざまなフィルタを付加して混変調特性を改善したこと、0.5Wであるがコンテスト等での交信実績があること、高野さんの特徴ともいえる外観の仕上がりに良さも評価。

○優秀賞第1席
「HF 5バンドSSBトランシーバー」(JR6FO 下地 英得さん)
 3.5MHz,7MHz,14MHz,21MHz,28MHzの5バンドSSBトランシーバーだが、フルデジタルでSSB生成を行った技術力の高さと、フルデジタルSSB機にふさわしいオーディオ機器のような外観と仕上がりの素晴らしさを評価。

○優秀賞第2席
空き缶を利用した6m QRP AMトランシーバー(CanTra6AM2017)」(JR8DAG 菅野 正人
 製作者が「CanTra6AM2017」という名称を付けているが、見た目のとおり、空き缶を使用して円筒形の独特の形状の無線機を製作したことと、交信実績もあるなどの実用性も評価。

○優秀賞第3席
「多機能マルチバンド・トランシーバー」(7L4WVU 原口 忠さん
 小型で1.9~50MHzの運用が可能であるだけでなく、JT65等のデジタルモードの運用にも対応できる多機能性と、工作技術における仕上げの丁寧さも評価。

○技術賞
「日本初DATV送信も可能な249GHz逓倍式トランスバーター」(JA3CVF 森本 清さん)
 1200MHz機を親機として249MHzを運用可能なトランスバーターで、249MHz帯のD7Wの電波型式を日本で初めて取得できたこと、マイクロ波機器を製作する上での技術力の高さやノウハウの素晴らしさを評価。


【管理人コメント】
○全般的なこと
・今回、自作品コンテストの展示ブースに長時間にわたっていたのですが、作品を見ている人は、出品者は説明してくれない(その場所にいない)と思い込んでいるようで、作品をさらっと見て行くだけの人が多かったような印象を持ちました。
・選外作品は壁に写真、出品者、作品名が紹介されていました。ブログ等に書かれていた方については、選外の理由についてある程度推測できましたが、他の作品は写真だけなので、選外になった理由は推測できないというところです。個人的な感想としては、選外になった理由を聞いてみたい作品が1つだけありました。
・これまでも同様であったのですが、出品作品に名称を付けない方がほとんどのようです。選外作品も含めて、作品に名称を付けていたのは、私のほかにもう1名だけでした。そんなこともあって、審査委員長の講評で、「出品者もCanTra6AM2017という名称を付けています」というコメントがあったのは意外でした。
・ちなみに、筆者が作品の名称を付ける意図は、作品に愛着がもてるとか、名称で特徴を示す、といったこともありますが、一番の理由は名称を付けておかないと整理ができないということです。
・昨年までの担当者が今年7月に退職されていまい、作品の審査状況を確認できなかったのは残念でした。

○入賞作品について
・作品の出品数に比べて入賞作品が少なかったように感じています。単に目新しいとか技術の高さの他に、出品者のこだわりのようなものを適切に表現できないと入賞は難しいのかなと感じますが、その表現ができた人が少なかったのか、入賞の基準が上がったのかは、今年の作品を見る限りでは判断できませんでした。
・展示用説明文は、自由部門優秀賞第1席の「HF 5バンドSSBトランシーバー」がメーカーのカタログのような感じで非常に素晴らしかったです。
・規定部門最優秀賞はデジタル処理の発振器、デジタル処理で結果を蓄積できる作品と予想していましたが、意外にもアナログ発振をベースとした作品であったのは意外でした。
・私が出品した作品の講評がどうなるかと思っていたのですが、意外にもさらっと流されてしまった感じでした。作品の形状を見るだけで一目瞭然であるという意味であろうということで、意訳して掲載させていただきました。

○【その他】入賞のポイントは?
 私が考えるハムフェア自作品コンテストの入賞ポイントについては、すでに2008年に記載していますが、ここ数年、審査員を行っていると噂のFさんと話をしたところ、2008年に測した入賞ポイントは2017年においても大きく変わっていないと感じました。
 参考として、2008年当時の記載を修正し、著者が推測する入賞ポイントとして掲載します。

1.入賞作品の印象というか特徴
作品から製作者の主張がはっきりとわかること
・作品がしっかりと動作すること(使えることを示している必要がある、使える可能性があるという説明ではダメ)
・デザインが良いこと
・他人に見せることに対する配慮があること
・上記に加えて、書類が適切に作成されていること。特に第1次審査書類が重要で、この時点で作品が完成していないと入賞はきわめて難しいと考えられる。

 審査員の見解では、製作の意図や、技術を採用した意図などが書かれていない、非常に読みにくいものが多いとのこと。審査員としては、第1次審査書類でイメージを付けて作品を見るので、「第1次審査書類で書いていたことはこのことか・・・・」と思わせることが、入賞と選外の分岐点になると思われます。

2.入賞するために考えておくポイント
 2-1 最低限必要なこと
・自己満足だけでなく、他人に見せることを意識していること。
・完成度の高さが重要。一次審査の書類提出の段階で作品ができあがっていないと、第1次審査書類を見て判断した作品の印象と実際の作品を見たときにギャップを生じることとなる。
・操作系はわかりやすくするか、できない場合は書類にきちんと書く。自分勝手な論理を押し通さないこと

 2-2 より望ましいこと
・他の作品にはない独創性というかこだわりが感じられること。ただ、これは回路的な技術の高さだけにはこだわらない。例えば、回路的には簡単であっても作品によってある分野(6mAMなど)の普及が促進されれば、それはそれで独自性である。
・技術が高いことは有利であるが、それより重要なのは、技術を用している目的である。新技術を作ったのならばその目的、既存の技術を利用した場合は、数ある選択肢の中でなぜその技術を採用したかをきちんと書類に書くこと。

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