木製ケースの6m QRP AMトランシーバー(JR8DAG-6AM2020W)について(2019.08.27)
ブログ管理人のJR8DAG/M.Kannoです。
ハムフェア2019自作品コンテストにて規定部門優秀賞第三席に入賞できた「木製ケースの6m QRP AMトランシーバー(JR8DAG-6AM2020W)」について、自作品コンテストの提出書類で書かなかったことについて述べます。
【出品の動機】
・昨年11月に規定部門のテーマが50MHz帯関連機器」と発表された時点で作品を出品することを決めました。
・規定部門のテーマが発表された時点では2つほど考えていたのですが、今回出品した作品はそのどちらでもありませんでした。
・当初の2つの案のうち、1つ目は回路がまともに動作するまでの試行錯誤が必要でしたが、この時点では応募まで間に合いそうもなく、第1案は次年度以降に残すこととしました。
・第2案はハムフェア2017自作品コンテストに出品したCanTra6AM2017系統の作品でしたが、この作品を出品するなら、現在、主力として使用しているJR8DAG-2006AMの置き換える自作機を製作した方が良いのではと思い直しました。
・実は、(自称)6mAM自作標準機JR8DAG-2006AMの置き換える作品は2020年の自作品コンテストへの出品を考えていました。外観もJR8DAG-40AM2015に準じたものにする予定でした。
・一方で、2008年に木製ケースのトランシーバーを入賞させていますが、その作品は6mSSBでしたので、やはり6mAMでも入賞させたいのと、製作から11年経過したこともあり、木製ケースの大きさや実装方法など改善したいと思うことも出てきました。
・そんなこともあり、(自称)6mAM自作標準機JR8DAG-2006AMの後継機として木製ケースの6m QRP AMトランシーバーを出品することを決めたのは1月下旬の頃でした。
・今回のような木製ケースを使用した自作機にふさわしいのはやはり6mAMだと思いましたから、何としても入賞させたいとも考えました。
【どのような作品とするか】
・今回の作品は少なくともJR8DAG-2006AMと同等の使い勝手と、木製ケースの質感を調和させることを考えました。
・回路はJR8DAG-2006AMをベースにして、これまでの運用を踏まえた改良を加えることを基本としました。
・木製ケースはJR8DAG-2008SSBをベースに、こちらも使い勝手を向上させる改良を行いました。本作品では、回路よりもこの木製ケースの実装方法の改良の比重が高くなりました。
・これまでと同様にデザインはできる限り丁寧に仕上げる、回路設計は必要な性能の確保と製作後のメンテナンスをしやすくすることなどにこだわりました。
【回路設計】
・受信は選択度の改善、FM補完放送の混信の低減と言ったところで、他はJR8DAG-2006AMと同じでした。回路的にはある程度完成していますが、2019年現在では2SK241の入手が難しいという問題は積み残しとなっています。
・送信は送信時の音声帯域制限の強化、局部発振回路のコイル変更とFM補完放送の混信の低減を兼ねたLPFの追加によるスプリアス特性の改善が主な変更点です。当初、周波数変換に2SK192AYを使用しましたが、変換ゲインが小さいためか出力が出ず、JR8DAG-2006AMと同じ2SK241Yに戻しました。21MHzのJR8DAG-2015AMではSK192Aで0.5Wの出力が得られましたが、50MHzでは2SK241が必要なようでした。
・FETに関しては秋月電子通商で売られているJ211_74Zは気になるところですが、残念ながら動作確認するだけの時間がなく断念したというところです。
・本作品では、オフセット可能な小型の周波数カウンターが市販されているので、実装することとしました。運用周波数が直接わかるようになったので使い勝手がかなり向上しました。ただ、応募書類はさらっと記述するだけにとどめました。あれだけ表示を占有するなら時計とかを入れてはどうかと言われてもおかしくありませんでしたので・・・。
【木製ケースの製作】
・外枠は木材、パネルはプリント基板を使用しているのはJR8DAG-2008SSBと同様です。パネルの塗装は少し濃い茶色に変更しています。外枠の木材色の淡い色と調和は取れていると感じています。
・今回、周波数カウンターを追加しつつ、スピーカーもパネルに実装することとしたために、配置には少し苦労しました。JR8DAG-2006AMに比べてスピーカーが小さくならざるを得なくなりました。
・JR8DAG-2008SSBで使用した5mm厚のホオノキ材は、東京ハンズ 札幌店で入手したのですが、現在は入手ができなくなってしまったため、ホームセンターで普通に売られている4mm厚のシナベニア板を使用することとしました。
・ケースとしての強度が確保されるのなら、薄い方が内部のスペースが大きくなるので、その辺は良かった反面、見た目が木材のように見えないのが少し残念なところでもありました。
・JR8DAG-2008SSBからの変更点は、移動運用での使い勝手を向上させるための大きさ変更(若干の小型化)、基板の実装方法の変更、電池の実装方法の変更が主なところです。
・大きさは、実装のしやすさと移動運用の使い勝手を考慮し、JR8DAG-2008SSBから奥行きを30mmほど短くしました。
・JR8DAG-2008SSBでは、内蔵電池を実装するためは電池ケースの加工が面倒であったため、電池をケースの後方上部におさめる形に実装方法を変更して単3型10本のケースを実装できるようにしました。このようにすることで電池をケースごと交換することも容易になりました。
【デザイン】
・JR8DAG-2008SSBと同様に外枠は透明つや消しのニスで塗装し木材の質感を生かすことにしました。パネルは少し濃いめの色にして外枠の淡い木材色と対比する感じで調和を取ることを意図しました。
・つまみはプラスチックではなく、木材を使用しました。ボリューム用のつまみは東急ハンズで入手した円形木材に、ダイヤルに取り付ける6mm穴とイモネジ用の3mmの穴を空けました。6mm穴は中心に空けるのが大変でした。周波数ダイヤルは、ホームセンターで手に入れたつまみに、先ほどのボリュームダイヤルと同じ加工をしています。
【使用感】
・受信性能、送信の音質などは、6mAM運用を快適に使用できる性能があります。このあたりは現在主力で使用しているJR8DAG-2006AMと同様の使い勝手を確保しています。
・周波数カウンターを装備したのは、周波数が直接わかる点では使い勝手が向上しています。
・電池交換のための内部の引き出しもスムーズに行えますし、全体的な構造も通常運用では壊れない程度の強度は確保できたかと思います。
・自作品コンテスト出品時までに、1,2,6,8,9エリアの17局(重複を含む)と交信できました。ありがとうございました。
(参考:本作品での交信局、重複なしで12局)
・JA8RMA,JM8NVV,JA8XTG,JA8ETC,JA8SNA,JA2OPP,JA6GZH,7M1XPR/QRP,JR9RKU,JA9JXC,JA8RJP,JM8MMJ
【その他】
・マイクも木製ケースです。こちらはJR8DAG-2008SSB製作の際に残っていた3mm厚のホオノキ材を使用してケースを作成しました。このケースはJR8DAG-2008SSBと同じですが、製品ごとに感度に違いがあるコンデンサマイクの選定は少し苦戦しました。
【感想など】
・今まで主力として使ってきたJR8DAG-2006AMの置き換えができ、6mAMで木製ケースのトランシーバーを自作品コンテストで入賞させることができたことに満足しています。
・一方で、出品にあたっては正直苦しい部分もあって、現時点でできることはやりましたが、作品としてもっと磨きをかける部分は残っているようにも思っています。
(関連記事リンク)
・ハムフェア2019自作品コンテスト入賞作品がJARL WEBで発表される: JR8DAGのメモ書きブログ
・ハムフェア2019自作品コンテストの募集要項が発表される: JR8DAGのメモ書きブログ
・ハムフェア2019自作品コンテスト結果: JR8DAGのメモ書きブログ
JR8DAG/菅野 正人
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コメント
表彰式出席お疲れさん。
私のミリ波ツールの実験ビデオをYouTubeにアップしています。
https://www.youtube.com/watch?v=2IrW-Kq_g08&feature=youtu.be
興味が有れば見てください。
約4分位で249Gの世界を少し感じて貰えれば幸いです。
JA3CVF
投稿: 森本 清 | 2019年9月 2日 (月) 11時18分
JA3CVF さん、こんばんは
自作品コンテスト表彰式ではありがとうございました。
249GHz正直想像できない周波数であるのですが、動画を
ざっと見る限り直線性がかなり強いなと感じました。
コメントありがとうございました。今後ともよろしく
お願いします。
JR8DAG/M.Kanno
投稿: JR8DAG/M.Kanno | 2019年9月 2日 (月) 23時51分